2013年6月19日水曜日

28-50MHz AM/FM Transceiver (8) 完成

外観(FRONT)
CQ誌にAMの話題が掲載される前から作り始めたのだが、やっとのことで取り敢えず完成した。といっても課題も残っているが。
 当初計画は以下の様であった。
【特徴】
・ミクサーにアクティブ(受信)、パッシブ(送信)を使用
・VFOにDDS(最初はPLLの予定であったが)を使用
・AM変調にICを使用した低電力での変調
・送信パワーアンプに三菱パワーFETを採用


外観(BACK)

【計画仕様】
周波数:28.000-29.7MHz 50.000-54.000MHz
モード:AM・FM
出  力:5W(AM,FM)







最終的な性能は、以下の様になった。

 周波数: 28.000-29.7MHz 50.000MHz-54MHz
 モード:  AM,FM
 出力:  28Mhz帯 2.5W(AM、FM) 50MHz帯2W(AM,FM)
 電源:  受信時 28MHz帯AM 0.37A FM 0.44A
            50MHz帯AM 0.44A FM 0.40A
      送信時 28MHz帯AM(無変調)1.46A FM(無変調)1.44A
            50MHz帯AM(無変調)1.32A FM(無変調)1.30A

 AM,FMの電流変化等は、リレーのON、OFF切り替えによる変化である。
28,50MHzの送信時の電流変化は、リレーのON,OFFと出力段の電流変化が主なものである。

50MHz出力スペクトラム
28MHz」出力スペクトラム












【課題】

  • AM変調は低電力変調で行っているが、その後の回路はリニアである必要がある。ピーク時においては、無変調時の4倍のパワーが必要である。その為リニア動作を確保するために、最終的出力は、終段のRD15HVF1のMAXである9W近くの1/4である2W程度に絞る必要があった。実際の交信ではやはり出力10W程度は欲しい。特にノイズの多いときには2Wではきつい。リニアアンプをつけるか、終段をプシュプル等にしてパワーアップを検討していきたい。
  • AM受信にはLA1135Nを使用した。このICはステレオチューナーやカーラジオ等に使用されていたもので、高機能である。AGC、Sメーター回路が入っており、出力の歪みも少なく良い音がしているような気がする。AGCは、高周波用、IF用とあり色々応用できそうである。またSメーター回路は80dBのリニアリティーがある。このICの1クラス上のLA1137Nでは100dB取れるとの事である。今回あまり詳しくは実験しなかったが、LA1137Nも入手してあるので今後いろいろ応用してみたいと思う。7MHzAMであれば、このICにオーディオアンプをつなげばできてしまう。
  • VFOには中華製DDS基板(AD9851を)を使用した。基準発振素子やLPFに問題があるものの価格の安さは魅力である。信号純度が気になるが、これがどう影響するかは実際に使って見なければ分からないと思い、今回採用した。今のところ音質についてのクレームはない。
  • 送信高調波は、スペアナの画像を見るとギリギリ-50dB(28,50MHzともに)であった。-60dBは確保したいところだからもう一歩といったところか。
  • 受信スプリアスは、28MHz帯で、28.13(S2)。29.09(S2.5),29.7(S7) 50MHz帯で50.47(S0)、50.92(S0)、51.02(S0)、51.09(S1)、51.39(S4)、51.83(S1)、52.62(S1)、53.02(S3.5)となった。これらの原因が、DDSなのか、MIXER関係なのか分析していく必要があるが、実使用においてはあまり問題にならない(私だけかもしれないが)。計算が面倒である。今後の課題だ。
  • FMデビエーションが±2.5KHzとスーパーナローとなっているが、もう少し広げたい。このためには10.695MHzのVXO回路をもう少し検討する必要がある。暇を見て実験してみる。
  • メモリーは9チャンネルと電源OFF前の状態保存を行っている。次回電源ON時いは前回OFFの時の状態でONするようにしている。固定メモリーは周波数とモードを保存している。今後VFOの2チャンネル化やメモリー周波数をVFOへ移行するようなモードやRIT回路などを組み込みたい。今回はハードスイッチが限られているので組み込まなかった。少ないスイッチで多機能を使用するようにスイッチモード変更等も検討していきたい。この辺りはセンスで使い勝手が変わるので十分検討する必要がある。あまり欲張らないこと。SSBであればこの辺のことが重要になってくると思う。
  • 終段の三菱高周波用FETについてもさらに追求が必要である。プシュプル、パラレル等も実験してみたい。バイアス電流が大きいことが気に入らないもののそこそこ使えるFETだと思う。固定用ならば「有」だと思う。
  • 今回2バンドAM,FMと欲張ったが、結構大変であった。切り替え回路やバンド毎のレベル調整等。いろいろ勉強になった。機能を追及するならば単一周波数、モードが作りやすいことは言うまでも無い。でもSSBオールバンド位は挑戦してみたい。

以上まだまだ課題が多いが、取り敢えず完了とする。参考として回路図とLCD表示を掲載しておく。

回路図は、記録と記憶により描いているので100%ではない。あくまでも参考としてください。

次は何をつくろうかな?



受信回路図
送信、DDS、MPU回路図

LCD表示(参考)

2013年5月26日日曜日

28-50MHz AM/FM Transceiver (7)

いよいよ肝であるVFOとMPU部分である。

DDS回路図
【VFO】
 VFOにはDDSを採用した。すでに幾つかのサイトで紹介されている中華製DDS基板である。多少問題もあるようであるが、価格から見れば使わない手はない。今回はAD9851を使用している。AD9850でも可能であるが、上限に近いことや基準発振器に問題がありそうなことからこちらとしたのである。この基板でもスプリアス等は気になるところであるが、取り敢えず採用してみて問題があるようならそのとき検討することとしている。

 尚基板上のローパスフィルタは、AD9850の基板と同じく問題があるのでLとCは交換している。この基板にはLPF付きと何も付いていない出力と2系統の出力がある。そこでLPF付きの出力を受信用VFOとし受信MIXに送っている。何も付いていない出力には外部にLPFを付加して送信用に使用している。どちらも出力は-6dBmである。

 スプリアスや信号の純度に関しての実際の使用感については、次回報告する予定。
 この基板の詳細については、NET上に幾つか報告されているので参照願います。

MPU回路図
【MPU】
 DDSのコントロール、液晶表示のコントロール、ロータリーエンコーダー及び各種スイッチのコントロールにMPU(Atmel ATmega168)を採用した。開発言語は、BASCOMのBASICである。

 今回の特徴的な部分は、Power-ONのコントロールである。AFボリュームのスイッチでONとなるが、スイッチをOFFしたときにいきなり電源OFFするのではなく、終了処理をCPUで行った後電源OFFとなるようにしてある。
 終了処理とは、現在値をCPUのROMに書き込むことである。これを立ち上げ時に読み込み、次回Power-ONの時、前回終了時の周波数、モード、エンコーダーステップで立ち上げることができる。状態変化があった時点でROMに書き込めばよいと思うが、ROMの書き込み回数の保証が10万回となっているため、これを回避する手段として、電源OFF時にこのような処理を行っている。 もっとスマートにできる方法があると思うが、私の能力では、このような回路しか浮かばなかった。

 ロータリーエンコーダーは、今回光学式のものを使ってみた。これは、以前廉価なメカニカルの場合取りこぼしが多かった為である。結果としては、やはり光学式のほうがメカニカル式より取りこぼしが少なかった。少々高いのが問題ではあるが。
 分解能は25P/R。もう少し細かいほうが良いのだが、FM,AMならばそんなに国はならない。SSBであれば数百欲しいところである。
 スイッチは5個(周波数ステップ、バンド切り替え、モード切替、VFO/メモリー切り替え、メモリー書き込み)である。




 いよいよ次回完成報告とする予定である。


2013年5月15日水曜日

28-50MHz AM/FM Transceiver (6)

 ここのところ引越等大きく環境変化があり、工作は休業状態であったが、やっとのことで落ち着いてきた。まだ完了ではないが、どうにか工作が出来るまでになってきた。
 2ヶ月も工作をしていないと、前回までのことをかなり忘れている。
一応送受信が出来る状態であったが、変調に問題があった。
FM変調では変調度(デビュエーション)が小さい。AM変調ではマイナス変調で音の歪みが大きい(多い)ようである。今回はこれの対策を行うこととした。

FM改造回路図
【FM変調改造】
FM変調では変調度(デビュエーション)が小さく、モニタすると音が小さい。波形を見ると周波数変化が±1KHzがやっとであった。スーパーナローで±2.5KHzは必要である。オーディオ信号を大きくしてもこれ以上広がらない。根本的に見直す必要がある。
 そこで変化量を上げるためにバリキャップダイオードを直列に2個使用し変化量を稼ぐようにした。また、発振用FETをトランジスタに変更した。これによりどうにか安定して±2.5KHzの変化量を確保できた。この辺りは多分に手探りであった。機会を見て再度水晶発振回路を検討してみる予定。最終回路は図を参照願います。

改造前
改造後

【AM変調改造】
 AM変調は予想通りマイナス変調で、音質が歪っぽい。最初トランシーバーのラジケータを見ていたのだが、音声を入れればプラスに振れるのでマイナス変調とは思っていなかった。しかし熱伝対式POメータでみてみたら見事にマイナスに振れる。これはピーク検出と平均電力の違いであることに気づいた。
 ファイナルアンプへの直接変調の場合、マイナス変調の原因はオーバーモジュレーション、励信電力不足等であるが、低電力での変調の場合は、まずどの段階で発生しているのかを調べていく必要がある。今回の場合、まず変調用IC TA7069での波形を見てみるが問題ない。続いてミクサー。ここも問題なかった。結果リニアアンプ部分で発生していた。その波形は写真のようなものである。ピークでの波形が見にくい形となっている。波形として見たのはこれが初めてである。
この時の出力はMAX4Wで変調最大で2W程度まで落ちる。
 今回のリニアのMAX性能は10W弱である。4W出力時に100%変調した場合。電圧で倍 従って電力で4倍の能力が要求されることになる。それは16Wである。従って最大能力を超えることになる。
 従って今回その対策はどうするかといえば、最大出力能力を上げることは無理であることから、入力レベルを下げることになる。最終的には2W出力時まで下げる必要があった。2Wで4倍8Wでリニアアンプ能力内に収まる。このため最終的にはバンドパスフィルタとリニアアンプ部の間に3dB程度のアッテネータを入れることになる。

AM改造前出力波形
2W出力時波形


 さてAMで2W出力はどうなのだろう。実用的にはどうかである。実際に別のトランシーバーでローカル局に協力を頂き試してみたが、ノイズレベルとの兼ね合いで大きく影響している。基本的にノイズはAM成分が多いため、これが重なってくるとかなりきつくなってくる。同じ出力であれば、SSB,FMのほうが圧倒的に有利となる。ならば何でこんなもの作っているのであろう。といったらオシマイダ。

次回はいよいよVFO(DDS)とコントロール回路となる。

2013年3月2日土曜日

28-50MHz AM/FM Transceiver (5)

いよいよ送信回路です。

変調回路&マイクアンプ回路図
【キャリア発振&変調回路】
 今回の構成は、ブロックダイヤグラムにあるように、水晶発振による10.695MHzとDDSによる40MHz付近をミキシングして和の50MHzと差の28MHzを得ようとするものである。
 キャリヤ発振は当初2SK193を使用していたが、VXO範囲がなかなか取れなかったため最終的に2SK241に変更している。回路はオーソドックスなものである。
FM変調波形
FM変調は、10.695MHzの水晶発振をVXOとして、バリキャップ(1SV50)に音声信号を与えることにより得ている。今回の回路において±7.5KHz(ナローFM)を目標としたが、このためにはオーディオ信号で8VPP必要となり、マイクアンプ回路で十分スイングさせるためにかなり苦労している。結果といてそこまでスイングできていない。現状では6VPPがMAXで±3-4KHz程度でスーパーナローである。ローカル局にモニタしてもらったところ十分了解できるとの事であったので、現状良しとした。今後の課題 もう一度VXO回路を勉強。
 またデビュエーションの測定には何Hzで行うのであろうか。写真は800Hz

AM変調波形
AM変調は今回の目玉(でもないが)でTA7069Aを使用している。ヤフオクでAM変調用などと書かれて出品れていたので、思わずポチってしまった。最初データシートが見つからなかったので、古い本を調べてみたら、何のことはない単純な差動AMPであった。これをカスコード接続で上段TRのベースにAF信号を入力させればAM変調できるわけである。本来はアナログTV用のICである。回路図に内部構造を記載しておいた。3028、7045などと同等である。
このICが何でAM用と書かれていたのか分からないが、ググってみたらFT-102で使用されていた。そこで今回はこれを参考に作成してみた。
 その結果は左の写真のような感じでAM変調された。マイク入力に1KHz50mVを入力した時の波形である。変調度は、
(1-(246/300))x100=82% さらにAFレベルをあげると波形上下でサチッてしまう。キャリア入力を調整する必要がある。ローカルにモニタしてもらったところでは、これでも十分ということで、今回はこのままにしている。この辺もFMと同じく、まだ課題があるようだ。




送信ミクサー回路図
【マイクアンプ】
 マイクアンプはいつものICにお出まし願った。TA2011である。簡単なのでつい使ってしまうが、進歩が無い。このICの出力は1VRMS程度である。FM変調には8VPP程度ほしいので、2SC1815で1段増幅している。さらに出力インピーダンスを下げるためにエミッタフォローをつけている。実際に付加をつなぐと6VPP程度で歪み始めてしまう。たかがアンプでも希望特性を得るには最適化(カット&トライ)が必要である。

 マイクアンプ及び変調回路については、全体に再度最適化を計る必要がある。最初は音がひずんでいる等のモニタ結果であった。エミッタフォローもそのために追加したものだ。取り敢えずは、ローカルのモニタで大きな問題は出ていないようなので、今はこのまま進む。

ミクサー出力
【送信ミクサー】
 送信ミクサーは、既製品のダイオードバランスドミクサー(R&K M8)を使用している。ローカル入力(DDS出力)は、-6dBm程度なので、2SC2026で1段増幅しLPFを通して+10dBm程度とし、3dBmアッテネータ経由で入力している。
RF入力にはTA7069からの出力(-10dBm)を入力。
 IF出力から出てきた信号を2SC2026で軽く増幅している。この時のスペクトラムを掲載しておく。28,50MHzをトップとしてVFO(DDS)が-37dBm程度出ている。キャリヤの10.695MHzが-25dBmとなっている。その他上下にスプリアスが見えている。この信号を次段のバンドバスフィルタに出力している。


BPFOUT 51Mhz出力時スペクトラム
【送信バンドパスフィルタ】
 バンドパスフィルタ(BPF)は、28MHzと50MHz用をリレーで切り替えている。製作手間を省くために、最初はFCZコイルで製作してみた。その結果28MHzにおいては問題が無かったが、50MHzにおいて下側スプリアスが取れなかった。FCZコイルのQが低いためと思われる。致し方なくトロイダルコアでBPFを作り直している。さらに50MHzにおいては、28MHzのレベルを十分下げるため直列にトラップ(FCZコイル)を入れてアル。28MHz出力の際50MHzは上側なので十分抑圧されるため、トラップは入れていない。
 
 51Mhz出力時のBPF出力のスペクトラムをみると29Mhzで60dBm以上取れている。




パワーアンプ回路図
【パワーアンプ】
パワーアンプは、ブログ「その1」でご紹介した三菱のMOSパワーFETで構成している。ドライバーにRD00HVS1 ファイナルにRD15HVF1である。詳細実験はブログ「その1」をご覧ください。
 ただ実験では、それぞれ単体での実験であるが、今回は2段構成としている。ここで問題が発生した。ファイナル回路の入力に調整用コイルを入れていたが、50MHzではなんら問題ないが、28MHzに出力に異様なスプリアスが発生してしまう。原因は分からない。異常発振なのであろうか。そこでこのコイルをはずしたところ収まった。その為か、マッチングには多少問題があり、増幅度が多少下がってしまった。(5W→4W)


送信LPF
【ローパスフィルタ】
 パワーアンプの出力には定番の7次ローパスフィルタを入れている。データは勿論「
トロ活」である。

残るはDDSVFOとマイコン制御回路である。

続く







2013年2月10日日曜日

28-50MHz AM/FM Transceiver (4)

 前回からだいぶたってしまった。製作は進んでいるのだが、纏めるのが億劫になっている。これで はいかん。と鞭打って頑張ります。

RFアンプ出力
【RFAMP出力】
 前回の入力BPF&アンプの出力スペクトラムを掲示しました。入力は-70dBmで出力は-52dBm。BPFの損失とアンプの増幅率20dBmで計算通りとなっている。IM3は測定していない。機会を作って測定してみるつもりであるが、最近の無線環境からこの周波数帯ではそこそこでも問題ないと思っている。実際に運用して問題があったら検討しなおすこととした。その為にユニット化して製作している。
 尚、スペアナが液晶の為マーカーラインに信号が隠れてしまっている。少々見にくいがご勘弁願います。






受信用ミクサー
【受信混合部】
 ミクサーには多くの方式がある。DBM,SBM、H-Mode、FET、TR等々。今回はメーカーの普及機に多く採用されている、FET2個によるバランスドミクサーとした。私自身は作ったことが無かったことと、ダイオードDMBのように変換損失があるものでなく利得を優先した。
 ミクサー出力にはポストアンプを付けインピーダンス整合を取っている。この辺りは教科書の「トロ活用」通りである。





ミクサー出力(-30dBm入力)
結果は、画像のとおりで非常に綺麗であった。これは29MHz-30dBmの信号を入力したものである。局発の39.695MHzは、見えない。気になるのは29Mhzのすっぽ抜けである。もう少し検討の余地があるかもしれない。












FMIF&DET
【FMIF&DET】
 FMのIFと検波には、定番のMOTOROLAのICMC3361とした。いままで3357を使っていたが、少し進化した。このシリーズは、その後も進化版が出されている。セカンドソースも多く、いまだに入手可能である。実に長寿命である。AFアンプの386などと共にいまだに現役。如何に優れたICであるかが分かる。3357使用の時にスケルチだけは少々苦労してきた。今回色々使用例等探ってみたところ、各メーカーノイズ検出には工夫が見られた。中にはスケルチだけ別途回路としているものもあった。今回はTRIOだったかで使用していたもので、ノイズフィルタを強化したものである。これは結構うまくいっている。スケルチの切れ(ON/OFF)がスムーズである。まだ定数がしっくりこないのか、スケルチボリュームを半分ほどまわさないと切れないが、この辺りは調整できると思う。BカーブではなくDカーブのほうがいいかもしれない。これも将来課題である。

AM IF&DET
【AMIF&DET】
AMはLA1600辺りが定番であるが、今回以前秋葉原で入手したLA1135を採用してみた。このICはオーディオの世界で言うFMAMレシーバー用に使われているICで、1136,1137などのシリーズがある。データシートを見ると
機能として
MIX、OSC(ALC 付き)、IF 増幅、検波、AGC(normal)、RF 広帯域AGC、オートサーチ停止信号(シングルメータ出力)。局発バッファ出力
特徴として
・混変調特性が優れている:隣接局による妨害対策だけでなく、放送帯域内の全放送局による妨害対策もされている。
・狭帯域シグナルメータ:オートサーチストップ信号として使用でき、80dBm まで直線性がある。
・局発バッファ出力:電子同調システム, 周波数表示等の設計が容易である。
・OSC(ALC 付き):バラクタダイオード用に発振出力を低レベル(380mVrms)に安定化してあるため、トラッ キングエラーが改善される。
・MIX:二重平衝型差動MIX により、スプリアス妨害, IF 妨害に優れている。
・大入力特性が良い:130dBm 入力、fm=400Hz 80%mod 、THD=0.4% typ。
・低雑音:中入力S / N が良い(56dB typ)。
・実用感度:(S / N=20dB 入力):25dBm(2SK315 IDSS=11mA の場合)。
・VCC 変動補償:8 ~ 12V 利得変動, ひずみ率の変動が少ない。
・ショック音低減:VCC on, モード切換え時のAGC 時定数によるショック音低減が可能である。
とある。
この中で特にSメータ出力(リニアリティ80dB)、RF広帯域AGC機能、低歪等が期待したいところである。特にLA1600ではAGCがいじれない。
 尚LA1137では、Sメーターが100dBのリニアリティがある。いずれ使ってみたいと思う。今後のことを考えるとディスコンICはという意見もあるが、まだまだ入手可能であるようなので使用することとした。
 今回的にはあまり検討せず取り敢えずデータシートを参考に作っている。その結果としては、結構いける。特に音質はLA1600に比べると格段にいい感じである。AGCもまずまず。但し実電波ではまだ聞いていないが。SメータはS9までは素直であるが、+領域では詰まってくる。+10dB程度で飽和してくる。もちろんRFアンプがあるからかもしれない。この辺りはもう少し検討してみたいところである。LA1137ならば100dB程度のリニアリティがあるのでもう少し改善できるはずである。幸いにLA1137も入手できている。時間を見てこのあたりを掘り下げていこう。折りしもCQ誌に7MHzAMが記事になっている。AM復活の兆しか?7MHzであればこのIC1個とAFアンプでAM受信機ができてしまう。Sメータ付きで。
 RFAGC出力は、電圧が下がるタイプで、データシートではRF用のFETのドレイン電流を制御しているようである。(カスコードアンプのように)

続く

訂正:回路図修正 (2016.02.17)